ある雑誌編集者 と 弊社小川との対談内容(第4回)です
− 装置のフレームとガイド、リニアーアクチュエータの関係(その4) −

―― 装置のフレームとガイド、
リニアアクチュエータの関係 ――
休憩
編集者 それでは、これからも明るくならない、ジリ貧の状態が続くのですか?
小川
私は「根が楽観的なのか?」
このような閉塞感が濃い中でも、極論すれば、見方を変えれば
「何もしてこなかった、一般産業機械ではやることはいくらでもあり、それを短期間の内にやりきれば、他社に対してハッキリ差別化した商品を生み出すことが可能である」と考えます。
休憩
編集者 また話がキツクなってきましたね。
業界の人から「石が飛んできますよ」 。
幾つか実例を挙げて頂けますか?
小川 はい、組み立てフレーム(ボルト、溶接・・・)(鋳物を門型加工機で加工しないという意味)の話をさせてください。
溶接でフレームを製造すると、先ず、X−Y−Z の直角度を出すことは難しわけで、言い方を変えれば、直角度が出ていない面を正にして、そこに3軸の直動アクチュエータをセットすると言う乱暴なことを当たり前にやっているユーザがあり、シリンダ・スライダーの破損することがありました。
「空圧の時と同じやり方だよ」と言ってきます。
このような場合、フレームの8箇所の角(直方体フレームの場合)に必要な直角度の出た加工品を配し、その加工品を基準に組みたてを行う手法、溶接などの工法を採用しなければならないなら、経時変化の歪に対する配慮を予めやっておく 「黒皮の付いた板材をそのまま組み付けるのではなく、先ず、平行度(厚み)を計測し、加工して使うか、そのまま使っても問題ないか?考えてから使う等のやり方を採用することで、金をかけずに、組み上げ時の調整費の増加、組み上げ後の市場トラブル等を防ぐことが可能です。
編集者 まだありますか?
小川 ずーとやっていても終わらないくらいいろいろ有りますが、きりがありませんので、極めつけをひとつ。
我々サーボ屋が聞き飽きている言葉があります。
「同じ機構、同じ部品を使用して、組み上げた機械なのに、同じサーボモータ・アンプを付けたのに動くものと動かないものが出てきた、何が原因なのか? サーボがおかしい、調査してくれ」
と 言ってきます。
空圧・油圧を長い間使い続けていると、機械を組み上げたら、機械屋の仕事は終わったと考える方が多いようです。それは、摩擦が大きかったり(機械がシブイ)、慣性質量(イナーシャ)が大きすぎたりしても、空圧・油圧シリンダのボアー径を増加させたり、エアー圧を上げる為にスピコンの弁を開けたりすることで、かなりの場合、対応が可能であって問題になるようなことは経験してこなかった。
「メカトロニクスの難しさの最大のポイントがここにある」のですが、そんなことは関係なく
・電気屋に押し付ける機械屋
・機構設計をして、部品加工をして、組み上げれば終了
と 考えている一般産業機械の機械屋さんが、かなりおられるような気がしています。
工作機械業界では当たり前の 「組み立て調整」 の 「調整」 が抜け落ちているか? ほとんど考慮されていない状態、ではないかと思われます。
編集者 「調整」に時間を掛けられないくらい、現状の一般産業機械業界の仕事は価格的に厳しいと言うことはありませんか?
休憩
小川 違うと思います。
考えていないからで、考えていれば、「創意・工夫」で 金をかけずに、かつ、時間を短縮して、最終的には、「トラブル発生→責任のなすりあい→解決」までの時間の浪費が防げるのでコスト最小で、かつ、信頼性の高いマシンが出来ると考えます。
編集者 かなり自信を持って言い切られましたが、まとめてみると
1.一般産業機械分野では、見方によっては、まだかなりやり残している技術的な要素がある。それは、他の分野では、常識的なことである。
2.他社に対する差別化をやり遂げる余地はまだまだいくらでもある。
3.途上国の追い上げを許さないマシンを作り、生き延びる道を探す方法が有るのではないか?
こんなところですか?
小川 テーマが大きくなりすぎて、完全に「舌足らず」になってしまいましたが、この補足は日々の業務の中で機会があればやらせていただきます。
編集者 本日はありがとうございました。
休憩
小川 こちらこそありがとうございました。
終わりです