社長のブログ
専用機の物づくり − 曲がり角の専用機 その1 −

専用機の世界が大きく変わる すでにその時期は過ぎて 衰退の時期 に来てるのではないか
冒頭から悲観的な事を書きましたが、今後も何とか市場が維持されれば、小型サーボモータ と コントローラのメーカである弊社 (ダイアディックシステムズ)も生き延びられるのではないか との希望・願望から「続 社長のブログ」を再開いたします。
1. 目標が無くなった専用機
2. 使用される現場が海外流失した
3. 一般市場が形成されない特殊な業界
以上の3つの理由から、簡単に見えてくる結論は 「専用機のビジネスは衰退やむなし」 です。
これは楽な結論ですが、何にも生まれません。
所詮  ごまめの歯ぎしり  だということもわかっておりますが、放ってはおけません。
目標が無くなった専用機
・・・・・ 次世代専用機は品質が作り込める専用機です
1. 速く物が作れる機械装置
2. 安価に作れる機械装置
3. 一品料理より少し数量が多い機械装置
   (リピートオーダの可能性)
4. 機械装置の性能が不明確
   (機械性能を決めないで作り始める、メチャクチャ)
このような条件で成り立っていた専用機業界が 「バブル崩壊」 までは順調に 「右肩上がり」 で 「うまく循環していた」 わけです。
       ・・・(これはビジネスになっていなかった。馴れ合い)
上記 悪弊をさっぱり捨て去る必要があるわけですが、これは永い間 専用機業界が作り出してきた「文化・しきたり」であり、 簡単に「明日から捨てましょう」などとは絶対になりません。
この状況は、どうしたら打ち破れるのか?
優秀な 本当の機械技術者の一群 と 優秀な「本当」の サーボ技術者の一群が手を結んだ場合のみ実現できる可能性があると 弊社では考えております。
次世代専用機の初めは、一部の選ばれた人間が地道に現場で思考錯誤して、苦しんでしか実現出来ない、と考えてください。
機電一体化の実現が必須です。
「バブル崩壊」後、状況は 年々悪化し続けております。
「当たり前な事」ですが・・・・・
初めは「これは何年周期の不況で、そのうちに好転する」と 能天気に構えていたいた人々も、 さすがに、25年継続中(1991年から2017年)の不況で「これはダメだ」と考えるに至っているのではないかと考えます。
ここで「簡単にあきらめていては、その他  A,B,C・・・・」の方々と全く変わらないわけでして、 単なる「歴史の傍観者」  「他人ごと」  「無責任」・・・・・
いくらでも書けます。
この状態が世の中の大勢を占めます。「諦め状態」が継続中・・・・・
ここから 「単純バカ」  「無鉄砲」 ・・・  で   よせば良いのに   「ごまめの歯ぎしり」 が 始まるわけです。
最も簡単に、一言で言い切ってしまえば
どんな専用機を作れば売れるのか? が解らないから、ビジネスが停止していると言うことです。
「それを言っちゃあ おしめいよ」 (映画の名セリフです)
これを一言で片付けないで、手を変え、品を変え、このブログで探して見ようという「わけ」です。
売れる機械を作れば、ビジネスは当然、自然と展開できるわけです。
もう少し丁寧に話します。
現状のどうしようもない状況を変革するためには優秀な尖兵が必要です。
機械屋のレベル・・・ 
水力・油圧・空圧 は、物を工場内で動かすだけで、物を作ってきただけである。
コントロール・制御の手法は全く使用していない。
ON-OFFの世界で製造機械を作ってきた、コントロールとは何か学び直す必要がある、
と 認識できるレベルが必要です。
「からくり」創りから「品質(例 食品機械の「味」)」創りへの大転換が必要です
電気屋のレベル・・・
サーボは物を動かして「なんぼ」のものである。
NC工作機械、多関節ロボット だけがサーボ応用分野ではない。
コストミニマムで電動力を利用できる広い知識と経験とを持っていることが必要です。
「吸着」を「空圧」でやるか? 電磁石でやるか?
どちらが最適な選択か?これが当たり前に正解できるレベル。
サーボモータが廻せて、工作機用のコントローラが出来るレベルは当たり前と考え、その上をいく電気屋が必要です。
彼等が次世代専用機を実現できて、そのマーケットが日本だけでなく世界に広く受け入れられる現実を 事例として提示できる事が出来た時に
「新しい物づくり専用機の世界」が見えてくると考えます。
従来の専用機は工場内で物(ワーク)を あっちへやったり  こっちへやったり  して、できるだけ 速く 時間をかけないで、完成品を作り出す事を第一 として作られてきた経緯があります。
つまり 機械装置が安価で、かつ  製品完成までのタクトタイムの短い事  が  良い機械である  とされてきた、 極論すれば  それだけを目標に専用機を生産してきた  訳です。

発展途上国に生産を移され  機械の「そっくりさん」 を作られれば 簡単に「やられてしまいます」
このようなレベルの機械しか製造してこなかった日本の専用機業界が、現在  今後の生き残りをかけて 苦境にあるのは 当然と言えば当然です。
例外も勿論あります(2つの事例をあげます)
自動車の専用機屋さんで「系列」を超えて ワールドワイド にビジネスをやれている中堅の専用機屋さん
日本一のパン屋さんの生産技術集団
どうすれば良いのか
簡単です。従来品とは違った専用機を作れば良いと言うわけです。
どのように違った機械を作れば良いのか?
先ず、頭を使って考え、知恵を出し、良い機械をつくること。
これにつきます。
ここで 腹をたて、怒り出すようでは先が知れておりますますので、静かに仕事を畳んでください。
小生の少ない専用機屋回りの経験から申し上げると
どのような製品を作れば良いのか? 
わかっていないで機械を作っている方々、が かなり多いのではないか?
言われた通りの機械を作っている方々、が 多くないか?
また、
発注側はどのような商品(機械)を作りたいのか、 分かっていない
つまり このような 発注・受注システム からは、次世代専用機の生み出される可能性は、かなり低い と考えられます。
     ほぼ  ゼロです!
分かりやすい例で書きます。   食品機械専用機を例に書きます。
先ず 「味の良い機械」を作ること。
「味の良い」とはどういうことなのか?
わかっていることが、双方の共通認識が、出来ていなければ此の機械作りは無理があります。
これまでなら、
この「菓子」を一時間に何個作れるような機械を「これくらいの価格」で考えてくれ。
と言う話で
「材料は・・・・・・」
「作り方のポイントは・・・・・」
「タクトタイムは・・・・・」
「味を作るのに何に注意したか?」
これくらいで、製作スタートする事例が多くあったと思います。
これでプロジェクトがスタートするから問題がいつまでたっても解決できず、グズー とした関係が継続し、エンジニアリングとは程遠く、 ビジネスとも遠い商売 が出来上がってしまうことになります。
その理由は
機械屋はメカニズムが出来れば完成
発注側は初期目標 「味」 「製造タクトタイム」 を満たす物が出来て完成
「味」はどこで、誰が作り込むのか?  責任が全く考えられていない。
製造プロセスの各段階での両者の合意が出来ていない。
機械完成後の「味」を作り込む「時間と費用」を装置価格に初めから組み込んでいない。
最終的に「味」の完成を誰が何時おこなうか?が明確になっていない。
つまり、「ナイナイづくし」で通常のビジネスとはなりえない状態が慣例的に 永い間行われてきました。
専用機業界のビジネス慣習は「当たらずといえども遠からず、おおよそ、こんなもの」ではないでしょうか?
バブル崩壊前はこれで全く問題はありませんでした。
崩壊後はビジネス環境が大幅に激変しました。
生産のメインが海外にシフトした専用機の 初号機 は従来通り 国内 で発注、
2号機以降は、海外現地調達。
初号機開発経費 の予算がどこからも出てこない。
国内専用機屋は大赤字。
国内専用機業界の ビジネス環境は大変厳しいもの になってしまった。
ここで、どこでも「ひとまねこざる」が容易に作れる機械では、今後商売が成り立たない条件が成立してしまった訳です。
景気が悪化した訳ではなく、周囲条件大きく変動したわけです。
ここで何が状況打開のために必要になるか?
世の中にはすでにうまく行った事例があります。

それは NC工作機械業界、多関節ロボット業界です。

海外で、容易に製造出来ない技術革新を実現することで、途上国の追い上げを許さないことです。
NC業界なら「マンマシンインタフェース」分野でリードすること。
CAD図から加工プログラムを自動生成する、等 の技術。
技術力の競争原理が働く業界、不況時に新技術開発が必至に行われ、それに勝った所が生き延びられる業界。
専用機業界(食品の場合)の場合を考えれば
物作りの原点が油空圧に大幅に依存し、
物作りの基礎はON-OFFで行われ、
改善項目は目の前にゴロゴロ転がっている
と 思います。
「名人の技」 を全て(易しいものから)取り入れて、それを メカ で実現するために サーボ制御技術 を大幅に取り入れることで、先ず 第一の革新が実現出来る と考えます。
「名人上手の技」を「からくり」で実現出来る能力
これが、基本の方法論です。これを実現することが必須です。
「くどい」ですが、
名人 や 職人 の 「わざ」 を、取り入れることが出来る能力を持った機械屋のみが、これからの「物づくり機械(専用機)」を作れる可能性を持った技能集団です。
簡単に「出来ない」と言わない サーボ・エンジニア と 能力を持った機械屋がうまく「知恵」を出し合える「環境つくり」、が 当面の最大課題です。
専用機屋の仕事分担
   従来のビジネス分担:
発注側から言われた機械をつくる。
これは「からくりの絵」が描ければ誰でもやれる。
   望ましいビジネス分担:
出来上がった製造機械を使用して、実際に物を作って、食品なら自分で食べてみる。
味がわからないなら、此の分野では一流の専用機屋になることは諦めて、「味」すなわち自分で評価が出来る分野を別に探すこと。
専用機は味がわからない人が作っても、 「 ような物 」 しか出来ない と考えます。
これは全ての物作り機械製造に言えることではないか?と考えます。
作り出した物が世間に一流品として通用するのか?  しないのか?
わからない人がどうして、物作り専用機械を製造して、世界の競争に勝って、いきていけるのか?
本当の競争社会が始まれば、すぐにわかる簡単な原理ではないか? と思います。
専用機の世界は「馴れ合いビジネス」が行いやすい業界であったとも言えます。
責任を互いに明確にしないで、曖昧にしておいて、バブル崩壊前は「丼勘定ビジネス」でやってこれた特異のビジネスとも言えると思います。
明確にしない、責任分担もはっきりさせない・・・・・
  ・・・・・のビジネスが、成り立たなくなった現実があるにもかかわらず、 そのビジネスに関係する人間の認識・覚悟がほとんど無いに等しい状況だけが存在しているような気がします。
どうにもならないひどい状況であると思います。
次回の2回め 「社長のブログ」では今回の概論の趣旨に沿って
「考えて作る機械」とはどのような物か
動力源である電気サーボをうまく使用する方法
それらを取り入れた「賢い専用機とは」とは?
組み上げた専用機の回転部分の軸摩擦を管理していますか?・・・・・
と 言った「次世代専用機」製作のための実用的な項目について 思いつくままに書いていくつもりです。