ある雑誌編集者 と との対談内容抜粋です(第3回)
− サーボシステムの問題点 −

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―― サーボシステムの問題点 ――
編集者 なんとなく解るような気はしますが、「コントローラの開発費用が膨大であった」理由を簡単に説明してください。
小川 承知いたしました。
前回、ご説明した業種(工作機械、多間接ロボット、等)のコントローラは、規模の小さなもので 数千万円、少し大きくなると軽く、1億を超えます。

当然、繰り返しの生産が大量にあり、1台あたりの負担分がそれに見合うような販売条件が成り立つわけです。

それに対して、一般産業機械のメインである 専用機 は「一品料理」に近い物がほとんどです。
コントローラの開発に要した費用は、原則的にはそのビジネスで償却しなくてはならないわけです。
従って、ラダープログラムを使用しても、空圧シリンダの電磁弁の開け閉め程度のことしか(コストが合わないので)出来ないことになります。
つまり、
「何かを制御して、物を作る」 と、いうことは難しく、「物を動かすことで物を作る」 ことしか経済的にやれなかった、と いうことであると想像しております。

経済的にサーボは使い切れなかったというのが実態ではないか? と思います。
編集者 ここまでの話を聞くと、一般産業機械業界は「被害者」であって、なにもしない「化石の人種」などと非難される筋合いはないではないですか?
小川 鋭い分析ですね、恐れ入りました。
編集者 なぜ現在のような「制御なしの物作り」の状況が生まれたのか?
は、見えてきましたが、
それをどのように改善改良していくのか?
は、まだ提示されていませんね。
小川 その答えが「かんたんコントローラ」である事を説明させていただきます
編集者 どんなものですか?
小川 工作機械、多関節ロボットの専用コントローラの製作にかかる開発費用
1.事前調査:数人、数年
2.コントローラ開発 人員 : 50人〜100人
3.期間:最低1年 デバックまで含めれば2年
非常に大雑把な推定を行うと上記のようになります。
従いまして、専用コントローラの開発投資は、億を超える金額が当たり前にかかってしまいます。
多軸のサーボ(3軸〜6軸程度)を動作させるためには、それなりの金額が発生します。
1億円は、1000台で償却すると 10万円/1台 の償却費用が発生します。
これに材料費、生産工数、利益、管理費 を計算し、償却費用を合計すると、
3軸程度の基本送り軸コントローラで 最低50万円程度は売価で必要となるわけです。しかし、円弧補間、曲面補間 が可能で、金属加工ができます。

これに対して、「PLC+ラダーの組み合わせ」では 1軸サーボを用い、8点の停止点を設け、各点にタイマーを設定する単純プログラムで 256ステップのプログラムを書くことが必要になります。
それでも採算性を無視して、5軸サーボを2000万円かけて「PLC+ラダー」でやった特例も有ることはあります。
ここまで話を進めてくると、一般産業機械業界でサーボを使用してもらうためには、現在のFA業界の専用コントローラではなく、かつ 「PLC+ラダー」でもない、 全く新しいコントローラを考案しなければならないことが明白に理解されるわけです。

これに対して、ダイアディックは
・PTP(Point To Point)に特化し
・軸数 8軸程度
・同時スタート(同期の最低グレード、同期コントローラは使用せず)可能
・上限速度は設定出来るが、速度制御性は±20%程度のラフな制御
つまり、それなりに多軸サーボをコントロール可能な簡易コントローラを価格破壊的なコストで実現する必要が「何としても存在」し、かつ、それを実現した「かんたんコントローラ」は、一般産業機械業界の「救世主」的な存在であるわけです (日本ではこれが理解されず、中国で大いにうけている、これが本当の問題点です)。

これを用いて、一般産業機械業界の機械装置にサーボを導入して、制御性を機械に持たせ、
「おっぱなし物つくり」 → 「制御した物つくり」
へ、生産方式を大きく変更することが、途上国に打ち勝って、差別化していく唯一の方法であるわけです。

これが、ダイアディックシステムズの「回答」になります。
終わり・・・