ある一般産業 機械装置メーカの I 社長と
弊社小川との会話内容抜粋(第8回)です


・・・第7回から続きます


―― バッテリーレス メカシリンダ(電動シリンダ) ――



小川
余談が長くなってしまいましたが、ダイアディックの「バッテリーレス簡易アブソ リュート」について、簡単に説明します

基本原理はメイン電源が何らかの理由で、遮断された場合、「いつ までも惰走し続ける機械は存在しない」ということを基本においています

この惰走時間を 0.1〜0.5 秒 程度と見込んで、電源遮断後、1〜1.5 秒 の間だけ、エンコーダの機能を電源正 常時と同じになるように、 電気二重層コンデンサから電力を供給し、【惰走⇒停止】に至る状態を監視し、完全停止になったところで、現在位置を不揮発性メモリーに保存します
そして、1〜1.5 秒 経過後、電気二重層コンデンサからの通電も遮断します。微小電流を流す動作はしておりません。

「微小電流 を流す」と言う、諸悪の根源となる動作はさせない、これが信頼性を著し く増大させる真の理由になります

無通電時、メカシリンダ(電動シリンダ)は自己保持特性をもっているので、その停止状態 を維持します
次に、再度電源が入るとメモリーからデータを読み出し、運転準備完了状態になります






I 社長 大体わかりましたが、自己保持特性以上の力が加わった場合は、 動いてしまいますが問題ですよね




小川
問題になります
自己保持特性以上の力が加わる場合には保持ブレーキが必要になります

メカシリンダ(電動シリンダ)の10kgf、20kgf推力は自己保持能力が3〜5kgfと上限がありますので、電源遮断時、外部からこれ以上の力を加えられた場合、 位置の情報を失ってしまいます。この場合は再起動時に原点復帰動作が必要になります

50、60kgfのシリンダは外力では動きませんので、このような現象 はありませんが



I 社長
使いづらいシステムというような評価は 出ていませんか?




小川 現場を知らない、機械の使われ方を知らない、理想論をかざしてくる、「お絵かきエ ンジニア」からは時々、指摘を受けることはあります

「そのような方」の特長は、高飛車に言ってくるところなのですが、「そのような方」を理解させる労力は並大抵ではありませんので、 大変申し訳ないと思うのですが、適当に対応しながら、無視することにしております

われわれは電気屋であれ、機械屋であれ、プロを相手のビジネスをやっ ているわけですから



I 社長 かなり強気ですね、但し「そのような方」が技術の実権を握って いる場合が多いと思いますよ




小川 先ほど、「貴社の若い技術者を大切に育てて下さい」と言ったのも理由がある訳です

実の仕事をしないで、何でも文句を付けたがる人間はいますが、そのよう な人種と技術論争をしているゆとりもありませんので、放置しているわけです

我々のシステムの方が技術的、信頼性ともに圧倒的に優れていることを踏まえ た上での対応とご理解下さい

付け加えるとすれば、アブソリュート仕様は従来のインクリメンタル仕様 の価格と同一価格で対応しています
そして、今後順次、現在のインクリメンタル仕様とアブソリュート仕様は同一型番でユーザ側の設定で使い分けられるようにしていきます




I 社長 アブソリュート仕様でも価格を上げないというのは、「そのよう な方」を有無を言わさず取り込む手段であると同時に、ユーザから見たらありがたいですし、 他社ではまねの出来ない事ですね

当然、特許は出願していますよね



小川 そのように思いますし、特許出願もしています

どこの業界でも「人まね小猿」がいますから、防衛的な意味でも出願する ようにしております



第9回に続きます・・・