あるユーザと小川のアブソリュートセンサについての雑談内容抜粋

「バッテリレス アブソリュート センサ」について(2)
小川
現在市場に有るバッテリバックアップのABSセンサが問題を引き起こす最大要因は極微小電流による機械接点の接触不良です。 従いまして、我々は先ず、極微小電流を流さないことで根本的な技術課題をクリアーすることにしました。
ユーザ 詳しく教えて下さい
小川 順を追って説明します。

何故、バッテリーの極微小電流でバックアップするのか?

電源がOFFしている時に、外力でサーボモータの軸が回された場合、位置検出用センサも電源OFFで機能していませんので、モータ軸がどれだけ回転したのか不明で、位置情報を失ってしまうのです。

それを避けるために、 センサ及びセンサ回路には電源を常に入れておくわけです。但し、商用電源を使えないので、電池から供給する訳ですが、電池寿命を延ばすため、センサ回路を高インピーダンスにして動作電流を極端に「絞り込んで」動作させているのです。

ここからが逆転の発想、ダイアディックの得意なところです

ユーザ
はい
小川 機械装置の主電源がOFFした場合に機械は堕走を始めます。
このまま放置すると事故になりますので、メカブレーキをかけます。
ロボット等では0.1秒以内にブレーキがかかり落下等を防ぎます。一般的に0.5秒以上フリー走行が行われる機械は極めて少ないと言えます。

と言うことは、主電源がOFFして1秒以上堕走で回り続ける機械はほとんど無い

ユーザ 「割り切り」ですか? 「100%に対応する訳ではないのですね?」
小川 そのとうりです。

パーフェクトを狙って、何も出来ないより、90%〜95%の市場で満足して使用していただけるなら、「ノー・プロブレム」と言う訳です

ユーザ それでどうなっているのですか?

小川 電源がOFFし、機械装置が停止するまでの時間は(余裕を見て1.5〜2秒間)、電源がONの時と同じ電流をセンサ、 及び、センサ回路に供給し続けると言うことを実施しました。これには最近話題(電気自動車の分野)になっている電気二重層コンデンサーを利用しています
ユーザ
それだけですか?
小川 もう一工夫してあります。

弊社の電動シリンダの中には、電源がOFFした場合に外部からはロッドやキャリヤーが動かせないようにネジのリードを選択した製品があります。

自動的にブレーキがかかるようになっています

弊社のシリンダは「滑りネジ」方式を採用しているので、ネジのリードによってはセルフロック機能があるのです

ユーザ ダイアディック以外のサーボ機器にも外部ブレーキを装着すれば、この方式は採用可能ですね
小川 そのとうりですが、一つ注意ください。

「摺動タイプのブレーキ」を用いる場合、サーボモータなどのボールベアリングのグリス揮発成分が摺動面に付着し、「落下」等の事故がおきないような工夫が必要です


ユーザ
ダイアディックはその辺りのノウハウも持っていると言うわけですか?
小川 サーボ屋を30年、40年とやっておりますので
次回へ続きます・・・